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日本の農業の未来を見据えた時、
必ず問題視されるのが農家数の減少と後継者不足だ。
多くの人は、その理由を「農業は儲からないからだ」と感じている。
それも一理あるが、それだけではないと筆者は言う。
農家の子供が継がない本当の理由とは何か。

2010年の世界農林業センサスによれば、
農業就業人口は260万6000人、平均年齢は65.8歳だという。
5年前に比べて74万7000人(22.3%)の減少となった。
さらに、新規就農者数は2010年は5万4570人で、
うち39歳以下は1万3150人に過ぎない。
多くの人々はそれらを「問題」として捉え、
農家数の減少や後継者が少ない理由を、
「農業が儲からないからだ」と思っている。
果たして本当にそうなのだろうか。


<就業人口でなく経営者数を問え>

我が国の農業就業人口のピークは1960年の1454万人であり、
当時の農業就業人口の比率は30.2%もあった。
この農業就業人口の減少は、
農家や日本にとって不幸な出来事だったのだろうか。

ちなみに、他の先進国で農家が人口に占める割合は、
英国0.8%、米国0.9%、ドイツ1.0%である。
それに対して日本は1.6%と
他の先進国よりはるかに農家の比率が高く、減少率も少ないのだ。
農家比率の減少とは産業が成長した先進国である証しに過ぎず、
農業自体の衰退を示しているわけではない。
むしろ、日本ではまだ農家の数が多すぎると見るべきなのである。

「機械化貧乏」という言葉を聞いたことがあるはずだ。
我が国で稲作農業の機械化が飛躍的に進んだ、
昭和40年代から50年代にかけて、
「農家は機械を買わされて、
借金返済のために男は家族を残して出稼ぎに行く」などと言われた。
いわゆる「機械化貧乏論」である。

しかし、農業機械化によって生じる余剰時間を使い、
農家は兼業という形で農業以外の仕事で収入を増やすすべを得た。
農業機械は日本の農家あるいは農村に「革新」をもたらしたのである。

それが過剰な農業就業人口を産業労働者に変え、
日本の経済発展の条件を作り、農家と農村を豊かにした。
“機械化兼業”という新しい暮らし方を選択することで、
我が国の農家はそれ以前とは全く異なる存在になったのである。

平均65.8歳という農家の高齢化がしばしば問題にされる。
だが、それは高齢者でも仕事が続けられるためではないか。
もとより彼らの農業は趣味的なものであり、
農業の中での金額的シェアは極めて小さい。

ところが、“機械化兼業”という農家のライフスタイルは
既に変化し始めている。
農業機械の出荷額の推移を見ると、
1985年の7549億円をピークに2010年には4544億円まで減少した。
農業機械業界のかつての顧客たちも世代交代とともに
兼業で実現した趣味の農業を止め始めているからだ。

一方、事業として農業に取り組む能力を持った若い農業者は
確実に育っている。
問われるべきは労働力としての農業就業人口の数ではなく、
農業の経営主体としての農業経営者の数や
その資質を持った若者の数なのだ。

どんな事業でも業を成り立たせて行ける人とそうでない人がいるように、
稲作、畑作、園芸、果樹、畜産、酪農など、
農業のどの部門でも同様である。
これまでに輸入自由化されたオレンジやサクランボなどでもそうであった。
自由化により価格が下がることで経営が破たんすると考える前に、
その業界や産地あるいは農家が
時代やマーケットの変化に対応する能力が問われるべきなのである。

茨城県のレンコン農家の宮本貴夫さん(34歳)は、
弟の昌治さん(32歳)と昭良さん(31歳)とともに
3人で「れんこん三兄弟」という会社を作った。
品質へのこだわりと熱心な営業によって、
良質食材を求める小売業やレストランなど業務用の直販を中心に
販路を広め、収益率を高めた。

三兄弟とも法人化1年目から給料は月額50万円で
会社としても利益を出している。
かつて人は「労働力」としてしかみなされず、
長男が家を相続し、二男三男は家を出ていくのが普通だった。
宮本三兄弟はお互いを「労働力(体力)」としてではなく、
その資質の違いを
「経営力(人材)」として活かす知恵を持っているのである。
彼らのような兄弟経営の例は、全国のあらゆる作物でも増えている。


<農業に夢を抱く人材を育てよ>

筆者が出会ってきた農業後継者たちは、
必ずしも親が大儲けをしているから継いだのではない。
農業を通して時代や社会に
チャレンジし続ける親や先輩の姿を見て育ったからだ。
そして彼らは、親の誇りを受け継ぎつつ、
親とは違った未来を創り出そうとしている。

農家の子供の多くが農業を継ごうとしない理由は様々だが、
「農業が儲からないから」という理由だけでは決してないと思う。

これまで日本の農政は、戦後の農地改革の思想に基づく、
農地・農業政策とそれを前提にした戦後的な村の論理が、
耕作規模の拡大を困難にし、農業の産業化を阻んできた。
加えて農業構造の変化を抑制する、
戸別所得補償制度のようなバラマキ政策が現在も続いている。

批判を恐れず敢えて言うなら、「農業は尊い仕事だ」と言いつつも、
農業保護ばかりを叫ぶ農業界や農家、補助金なしには
農業が成り立たないような親の後ろ姿を見て、
子供たちが農業に誇りを持つことができるだろうか。

逆に今、非農家の若者の多くが農業に夢を抱くのは、
そうした農家や農業界の被害者意識にとらわれず、
農業に新しい可能性を見出しているからだと私は思う。
農業関係者は、過剰な農業保護を喧伝しても、
後継者は増えないことにそろそろ気づくべきだ。
むしろ、宮本兄弟のような農家を一人でも多く増やすことが
農業に夢を抱く人材を育てるのではないのか。


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1620


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