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<ノーベル賞受賞者29名>

アメリカの知力を代表する二つの機関、高等教育とシンクタンク。
これらはお互いに人材を供給し合っている。
これまで別々にその力量や魅力について取り上げてきたが、
今回はそれらが一体化した世界でも珍しい事例を紹介したい。
それは、シンクタンクの中にある世界で唯一の大学院、
ランド公共政策大学院である。

基金の規模、研究者の数でも、2位以下を3倍以上引き離す、
世界最大のシンクタンク、ランド研究所。
単体の研究機関として
世界最大の29名のノーベル賞受賞者を生み出している。
研究対象分野は、軍事、外交安全保障、経済、社会保障、
エネルギー、科学技術、インフラ設計等、幅広い。

評論のための研究は一切せず、
アメリカをはじめ世界各国の政府や
国際機関からの依頼を受けた研究に従事する。
よって、機密性の高い研究・分析ばかりで、
評論中心のシンクタンクのように
自ら自由に情報発信をしているわけではない。
そこがランド研究所の知名度不足や
「CIAの別動隊だ」などという神秘性につながっている。

ランドのユニークさについては枚挙に暇がないが、
最も独創的なのは
シンクタンク内に公共政策大学院を抱えるということだ。
しかも、世界的にも珍しい、
修士号を発行しない、博士号のみの大学院なのだ。
この背景には「博士号を持って初めて
実際の社会で役立つ人材になれる」とのランドの想いがある。
修士号を出さないので、各種メディアのランキングにも出てこないが、
間違いなく世界最高水準の公共政策大学院である。

なぜシンクタンクが教育機関まで抱えるのか?
機密性の高い研究機関の中に学生が出入りすることに、
問題はあっても、利点はあるのか?
私もとても不思議に思っていた。
このあたりをランド研究所の生き字引で、
ランド公共政策大学院の生みの親である、
チャールズ・ウルフ氏に率直に聞いてみた。

「大学院設置の議論が始まったのは
ランド研究所設立から四半世紀が経った1970年のことだった」
懐かしそうにウルフ氏は目を細める。


<学生が政府が実施するプロジェクトに参画できる>

「アメリカ空軍の戦略立案のために作られたランド研究所も
四半世紀経つと、研究分野は非常に多様化していた。
経済も科学技術も社会保障も対象になっていた。
すぐれた研究者が世界中から集い、
他のどこにもないくらい多くの実践的プロジェクトが乱立していた。
また、政策課題が複雑化する中で求められる研究成果の水準も
加速度的に高まっていった」

そこでウルフ氏は、ある提案をする。

「ランドためだけではなく、
社会のためにも、実践的なプロジェクトの中で
次世代の政策立案を担う人材を育成してはどうかと思うようになった。
当時公共政策大学院がハーバードやプリンストンにでき始めていた。
大学での公共政策の研究も意義はあるが、
ランドなら象牙の塔の研究とは一味違う、
プロジェクトベースによる実践的な鍛錬が提供できると思い、
ランドに提案してみた」

ウルフ氏はゆっくりと言葉をえらぶように語る

「多くのシンクタンクが
安く優秀な学生をインターンとして使っていたが、
それだけではもったいないと思うようになった。
インターンに理論や経験も網羅的に叩き込むことによって、
彼らを業界の戦略にすることが
ランドの使命ではないかと思うようになった」という。

もちろん、ランド研究所内や財団の理事から反対もあった。
教育機関とシンクタンクは全く別物であり、
教育の経験もノウハウもないランドにとって、
大学院設置は足かせになるだけだとの厳しい声もあった。

よって、当初は近隣のUCLAやカリフォルニア工科大学と提携して
人材育成をすることが検討された。
大学と提携することと自ら大学院設置することと、
どちらがいいのかーーランド研究所内で、
約5年間に渡って様々な議論がなされた。
結論は「自前で人材教育をしてみよう」というものだった。

ウルフ氏は「勇ましく大学院を始めたものの、
継続できなかったら学生を路頭に迷ませ迷惑をかけてしまう。
よって、最初はランドが雇用した博士号を持っていない、
新人の研修機関として“ならし運転”を始めた。
これなら大学院が途中で頓挫しても、
学生は自社の職員ばかりだから迷惑をかけることもない」と
大学院設置当時の事実を語ってくれた。


<各界で引く手あまたの卒業生>

76年の開校以来、四半世紀が経った今、
ランド公共政策大学院は世界最高の評価を受けている。
毎年、500-600名が受験し、
20-25名が合格するという狭き門となっている受験生の8割が、
士官学校からエール、ハーバード、スタンフォード、
カリフォルニア大バークレー等で修士号をすでに取得している。

ランドでのPhD取得後の就職先は、33%が学界。
中でもエール大学、ハーバード大学、
デューク大学等の名門に採用されている。
26%がシンクタンク。
ウルフ氏によれば
「基本的にランドで博士号を取ったばかりの人間をランドは採用しない。
外の飯を食って来てそこで成果を上げてから
ランドの門を叩けということで外に送り出す」という。

CSIS、外交評議会、ブルッキングス等の名門シンクタンクが
ランドPhDを積極的に採っている。
19%が政府、省庁や大統領府、議員の政策スタッフに採用されている。
16%がマッキンゼー等のコンサルをはじめとする民間企業に就職。
直後の就職率は100%なのだ。

ランドPhDの在籍者の平均年齢は29歳。
22-46歳までが在籍している。
起業家や民間企業で実績を出した人物が、
「お金のためでなく国家や社会のためにキャリアチェンジをしたい」

40歳を過ぎてから
博士を取得するために入学してくる人もあるという。

博士号取得までの平均年数は約5年。
女性は32%。外国人留学生はなんと約半数の48%。
出身国はアフガニスタン、中国、ボスニア、インド、イスラエル、
韓国、ロシア、ザンビア、台湾、エチオピア、英国、ドイツと幅広い。
残念ながら、現在日本人学生は一人もいない。

91%の学生にランド研究所を支える財団から奨学金が出ている。
学費を含めて年間5万ドルが支給される。
その代りに学生はランドのプロジェクトで
下働きをすることが義務付けられている。
ここがランド公共政策大学院の人気の秘密である。

学生の一人は
「実際、政府によって実施される政策の立案に学生として参画できる。
こんな経験は普通の大学に行ってたらできない。
数か月のインターンと違って一年以上最初から最後まで
プロジェクトに入って責任をもってやれるんだから。
即戦力に近付ける」と胸を張る。

ランド政策大学院の現在の学長であるスーザン・マーキス女史と
レイチェル・スウィンガー副学長と懇談した際、
「日本人学生を歓迎したい」と切り出された。
過去に在籍した日本人学生は一名。
某シンクタンクから派遣されたこの学生は、
残念ながら、博士号を取ることができなかった。

ウルフ氏は「ランド公共政策大学院の唯一の欠点は
カリフォルニアの気候とサンタモニカという立地。
余程自らを律しないと学問に集中できない。
彼はビーチの魅力に勝てなかったのかもしれない」と
茶目っ気たっぷりの笑顔を見せる。


<日本人留学生現在ゼロ>

中国、韓国、インド、シンガポールからの留学生が目立つ中、
ランド公共政策大学院は日本人留学生を欲しがっている。
「ここで博士号を取得できれば
世界中どこででも明るい未来が待っているよ!」と
マーキス女史は語気を強める。
産経新聞で記者をやっていた経験のあるスウィンガー副学長は
「日本社会で5年間も職場を離れるリスクが大きいことはわかる。
ランドで学ぶものはそんなリスクを大きく上回る。
それに頑張れば3年で博士号を取れる」と言い切る。

難攻不落のランドPhDを最短三年で通過するのは
エールでもハーバードでもなく、米軍からの派遣組だそうだ。
マーキス学長の分析によれば、軍隊からの派遣組は
1・地頭がいい、
2・研究の焦点が鮮明、
3・勝利までの道のりを逆算するのが上手、
4・寝ないで勉強する体力がある。
のだそうだ。

プロジェクトで貢献するためには相当の英語力が要求される。
分析のために高度な数学を駆使する技量も要求される。
世界最高のシンクタンクで実際に実施される、
政府のプロジェクトの中で鍛えられるのは意義が大きいと思う。
博士号を取得すれば、世界中の学界、研究機関、民間、
政府等で採用される機会にあふれる。
就職の心配なんてしなくていいのだ。

是非とも日本人でチャレンジする人が現れて欲しい。


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/23954


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