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東日本大震災が発生した3月11日午後2時46分、
東京・市谷の防衛省11階にある事務次官室での会議中に
大きな揺れを感じた火箱(ひばこ)芳文陸上幕僚長(当時)は
執務室のある4階まで階段を駆け下りた。

「増援部隊を送る。しっかりせい」。
仙台市の陸上自衛隊東北方面総監部の
君塚栄治総監(現陸幕長)を電話で鼓舞すると、
北部、東部、中部、西部の4方面総監にも連絡した。
「出せるだけの部隊を東北に向かわせろ」。
ただし、九州・沖縄の防衛・警備を担う西部方面隊には
厚めに部隊を残した。
中国への備えはおろそかにできないからだ。

こうした部隊運用についての指示は
陸幕長の権限を越えていると自覚していた。
「統合運用」のもと、この役目は統合幕僚長の仕事なのだ。
しかし、テレビに映る被災地の映像は、そんな懸念を吹き飛ばした。

「これは戦(いくさ)だ」

12日夜、北海道・小樽港。
旭川の2師団の隊員260人と車両86台が乗り込んだのは
民間フェリーだった。
東日本大震災の発生から30時間がたっている。
一刻も早く被災地に、と心ははやっても陸路は寸断され、
JR津軽海峡線も不通。
北海道の部隊を被災地に送る手段は船しかない。
しかし、陸自の輸送要求に
海上自衛隊幹部は苦渋に満ちた表情で答えた。
「2日は使えない」

海自の大型輸送艦3隻のうち2隻は修理と海外派遣中。
残る1隻はすでに宮城への出動態勢をとっていたのだ。
3月29日までに被災地に入った北海道の隊員は
約1万人と車両約3400台。
だが、その輸送は民間フェリーに頼らざるを得なかった。

「自衛隊の輸送力の欠如は明らか。
こんな態勢では、南西諸島での有事に対処できるはずがない」。
ある防衛省幹部は自戒を込めていう。
国防上、最も危険性が高い想定シナリオは、
中国による東シナ海の離島への侵攻だ。
その際、本州などから大規模な陸自部隊を緊急展開できるのか。

自衛隊OBが指摘する「喫緊の課題」の一つは「拠点」だ。
震災救援では被災地に近い駐屯地・基地が拠点となった。
他地域からの増援部隊や物資はまず、
そこに入り、被災現場に向かっていった。
しかし、南西諸島では
宮古島以西に自衛隊は配置されておらず、拠点はない。
防衛上の空白地帯をなくすため
与那国島などへの駐屯地建設は必要不可欠なのだ。

輸送能力にも疑問符がつく。
「震災対応で輸送した物資は戦時の2割以下でしかない」
(陸自幹部)。
有事では武器・弾薬の輸送が膨大になるため、
いっそうの輸送力が必要となる。
また、米軍が震災で孤立した気仙沼・大島に海兵隊員を送り込んだのは
海面のがれきをものともせずに進む、
高性能の上陸用舟艇(LCU)だった。
老朽化が進み、機動性にもかける海自の上陸用舟艇では心もとない。


<有事アレルギー深刻>

震災発生から5日後の3月16日午前5時43分、
航空自衛隊松島基地(宮城)。
まだ夜は明けず、視界が悪い。
雪もちらつく空を切り裂くように米軍のC130輸送機が着陸した。
津波で被災した松島基地の復旧後「第1便」だった。

同機が松島基地に着陸すると、
空軍特殊部隊員が搭載してきた高機動車ハンビーとバイクに飛び乗り、
仙台空港に向かった。
空港復旧に向けての調査である。

被災地への救援物資の輸送で前線拠点となるべき松島基地の滑走路は
基地に勤務する隊員ががれきを除去し、
震災翌日には離着陸可能になった。
だが、レーダーが使えず、視界も悪い。
空自は輸送機の着陸を見送っていた。
そこへ米軍機がやってきたのだ。

着陸したC130は空自も保有している。
ただ、米軍は空港のないところにも着陸し、
拠点を確保する「橋頭堡」づくりの訓練を積んでいる。
その差が出た、と空自幹部は指摘している。

海自幹部が目を見張ったのが米軍の情報収集能力だった。
避難所の被災者数、電気やガスの状況、必要な物資…。
避難所を訪れた米兵が日本語で書かれた用紙を配り、
被災者に記入してもらっていた。
その回答用紙は宮城沖に停泊していた、
空母ロナルド・レーガンに集め、米本土の翻訳チームが英語に訳す。
返信されたデータは衛星写真の上に貼り付けられ、
レーダーを使い、ピンポイントで救援物資を輸送する基礎資料になった。

これはアフガニスタンとイラクでの対テロ戦で
重要な役割を果たした民衆の心をつかむ「対反乱作戦」として
米軍が培ったノウハウだ。
同時に、米軍の作戦実施の要となる、
「C4ISR(指揮・統制・通信・コンピューターの4Cと情報=I、
監視=S、偵察=R)」の一端を示すものでもある。

「ニーズというものは集まりにくい。
こちらから働きかけないと後手に回る」。
15日、東北方面総監部の統合任務部隊(JTF)司令部を訪れた、
グラック第3海兵遠征軍司令官と、
ハリソン在日米陸軍司令官は自衛隊幹部にそう助言した。

「原発事故は急速に悪化しかねない。
米軍のヘリも借り、一挙に住民を避難させることも必要か…」。
3月下旬、JTF指揮官に任命されていた君塚総監は
会議で強い危機感をにじませた。
大規模な住民避難となれば、避難計画が必要だ。
どこに、どれだけの住民を避難させ、
あらかじめ生活物資を集積しておくためだ。

だが、計画策定はかなわなかった。
ある首長が「計画が表沙汰になれば住民のパニックを誘発する」と
拒むなど、自治体の賛同が得られなかったためだ。

こうした「有事アレルギー」は自治体だけでなく、
中央官庁にもはびこる。

《日米調整所の役割が不明確な状況が生起。
人員・機能の明確化が必要》。
8月に防衛省が取りまとめた震災からの「教訓」には、こうある。
日米調整所は平成9年に改定された「日米防衛協力のための指針」
(新ガイドライン)に明記された「共同調整所」を
災害派遣用に準用した機能だ。
大震災で、防衛省、東京・横田基地の在日米軍司令部、
東北方面総監部の3カ所に設置され、日米協力の調整窓口となった。

しかし、実際には構成メンバーの選定から始まり、
調整すべきテーマも決まらず、
16日に発足して3日間は機能しなかった。
事前に組織構成の細部が詰められていなかったためだが、
これでは本来の有事を想定した共同調整所が
有効に機能しない可能性もある。

災害に関する「日米共同対処計画」は手つかずで、
有事の際の「共同作戦計画」の細部を詰める作業も進んでいない。
防衛省以外の中央省庁の腰が引けているためだ。

《指揮統制機能のあり方を検討》
《水陸両用機能の保持に関する検討が必要》
《各種対処計画の実効性を高めることが必要》

「教訓」には「検討」「必要」が並ぶが、
いずれも昨年12月に策定した防衛力整備の基本方針、
「防衛計画の大綱」で積み残した課題だ。
実際、自衛隊幹部は「常に大綱改定の必要性を痛感しながら、
震災対応にあたっていた」と打ち明ける。

震災と原発事故対応で浮かび上がったのは、
10年以上に及ぶ政府の「不作為」であり、
民主党政権が防衛大綱策定時に結論を先送りした懸案だった。

指揮統制、機動展開、統合輸送、情報収集…。
最高指揮官でもある菅直人首相(当時)が
「ドラえもんのポケットだな」と
無邪気にたたえた自衛隊の救援活動だが、
震災発生から6カ月が経過し、
多くの「穴」も浮かび上がってきた。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110911-00000065-san-pol


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