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過去10年間というもの、世界的にもアジア地域でも、
一変した米印戦略関係が約束する無限の恩恵について
多くのことが書かれてきた。

国際公共財の保護から民主主義の価値観の普及促進、
一国によるアジア支配の阻止に至るまで、
「自然な同盟国」である米印のパートナーシップは
21世紀の安定と繁栄にとって「不可欠」だと見なされている。

一方、そうした協力の限界については、あまり指摘されてこなかった。だが、
7月下旬にヒラリー・クリントン米国務長官が
2回目となる年次米印戦略対話に出席し、ニューデリー訪問予定を終えた今、
両国関係の限界はいやでも注目せざるを得ないものになった。

バラク・オバマ米大統領の個人的な働きかけにもかかわらず、
インド政府は4月下旬、インド空軍に
第4世代の新型戦闘機を供給するサプライヤーの選抜候補リストから、
最有力候補だった米国企業2社を落とした。
インド政府は最近、第5世代戦闘機の共同開発に向けて
ロシア政府と設計に関する仮契約を結んだため、
この分野での米印協力の機会は絶たれたように思える。

同じく4月には、インド政府は米印の2国間戦略対話を
日米間の対話と同じ「2プラス2(外務・防衛担当閣僚)」形式に
格上げする意思がないことを示唆し、この形式による協議の芽を摘んだ。
目先の失望感は別として、
米印防衛関係を深化させる最大の障害となっているのは、
戦略目的の根本的な不一致だ。


<防衛の相互運用性に見切り>

2000年代初頭から半ばにかけての構想段階では、
2国間の防衛協力、なかんずく海軍同士の協力は、
急速に発展する米印戦略的パートナーシップの代表であり象徴であって、
最も貴重な要素と見なされていた。
「大中東圏」に関してであれ「インド太平洋」地域についてであれ、
米国側としては、インドに対して見込みとまで言わないにせよ、
2つの期待があった。

1つ目は、インド政府は広大なインド洋地域における、
米国政府の主たる安全保障上のパートナーになり、
次第に米軍とともに地域の有事に対応する武力行使の計画立案に
携わるようになるという期待だ。
言うなれば「インド洋における日本」、
それも憲法第9条の制約がない日本のような存在に、
インドになってほしいとする願望である。

2005年の「米印防衛関係の新たな枠組み」文書が
こうした考えに信憑性を持たせた。
この文書は概念上、人道・災害支援活動から
「拡散防止のイニシアティブ(PSI)」のような関わり、
そして恐らくは国連の明確な信任を欠く、
「有志連合」形態での介入に至るまで、
インドの広範な協力を想定していた。
「共通の利益にかなう・・・多国籍作戦」という言葉が示していたのは
そうした可能性だ。

2つ目は、そうした協力が
次第に地中海から太平洋にまで及ぶ「域外」作戦に広がるに従い、
インド政府は米国と足並みを揃え、
海から中国をやんわり取り囲む作戦にも参加するであろうと、
そういう期待だった。

2004年のインド洋大津波の後、
インド政府が直ちに米太平洋軍司令部(PACOM)本部に
臨時の連絡将校を派遣したことや、
東シナ海での3カ国合同軍事演習に前向きに参加した姿勢、
さらにはマラッカ海峡への進路となる極めて重要なインド洋上で
広範な多国籍合同軍事演習を主催してきた実績が、
こうした考えに説得力を持たせた。

しかし2つの期待は両方とも、所期通りの展開にはならなかった。
米国がインドと原子力協定を結び、
国連安全保障理事会常任理事国入りを目指す、
インドを支持したにもかかわらず、
インド政府は、厳密に中印という2国間の関与以外、
どんな安全保障の枠組みの中でも中国と対峙する意欲は見せていない。
また、2国間防衛計画で米国が望むような
「共同性」や相互運用性の度合いも支持していないようだ。

実際、防衛の相互運用性が
半ば非公式な軍事連携の様相を帯び始めるところでは、
反射的にそうした関与から手を引くのがこれまでの傾向だった。


<一定の距離を置いてアメリカに協力するインド>

米国政府が最初に話を持ち出してから10年近く経っても、
インド政府はまだハワイのPACOM本部に
佐官級将校を恒久的に送ろうとしない。
米国の戦闘集団とそのような関係を築くことは望まないという、
最近のインド国防省のコメントや、
インド国防軍軍人が外国の軍事使節と
監視抜きで接触することを禁じた同省の対応は、
PACOMと軍対軍の関係で意見を述べ合うことすら、
その余地は狭まっていることを示唆している。

インド政府は「マラバール」と称する海軍合同演習の過程で
米軍の戦場ネットワークシステム「CENTRIX」の機能を知る、
例外的な機会を得られたにもかかわらず、
いまだに戦術的通信システムの相互運用を容易にする合意覚書、
(略称CISMoA)に署名するのを嫌がっている。
余計な介入に対する懸念にも駆られ、インド政府は米国ではなく、
ロシアの測位衛星システムに頼る決定をした。
軍事作戦に使用可能なナビゲーションシステムだとはいっても、
ロシアのそれはまだ半製品状態でしかないにもかかわらず、だ。

米印マラバール合同演習で訓練が行われたような、
海軍間の洋上燃料交換が、平時、有事を問わず、
南シナ海やそれ以外の海域での対米給油に前例を作ってしまうことを恐れ、
インド政府は相互の「後方支援協定(LSA)」の調印からも手を引いた。

後方支援協力に関する条項は、
米印海上安全保障協力の枠組みを立案していた時(2006年)に、
相互運用性を助ける成果を
米国政府が明確に確保した珍しい例だったことは、注記に値するだろう。

2007年には、インドがベンガル湾で
米、印、日、豪、シンガポールの5カ国合同軍事演習を主催した。
すると中国は外交ルートで各国へ苦情を申し入れ、
その言葉づかいたるや露骨なものだった。
受けたインドはインド洋地域でのマラバール軍事演習を
その後すべて厳密に米印二国間の演習にしてしまい、
多国間でやるなら遠隔地でということにし今日に至る。

東シナ海での3カ国マラバール軍事演習、
(当初は海自も参加予定だったが見送られた)は、
インドが海洋安全保障の責務を
インド洋域外へ広げる意思を示唆するものと考える向きもあった。
だが実際は、演習はそのような意思を示すどころか、
インドが核心的利益がかかるとみなすインド洋でやると
まるで米国と同盟国の海軍戦略に
ぶら下げられたような形になるからそれを嫌い、
遠隔海域で実施したというのが内実だったのである。

米国戦略の内部に統合されるのではなく、
一定の距離を置いて現実的に協力する、
(インド洋海域における米軍率いる国際的な海賊掃討作戦に対して
インド政府が示した支持にも同じようなパターンが見られた)というのが、
米印の2国間防衛協力の限界のように見える。

一方で、
米中間のやり取りを特徴づけるような辛辣な態度や言葉はないものの、
「ボーディッチ」をはじめとした米国の海洋調査船が
インド洋海域で許される行動については、
その解釈を巡って米印間の対立が激化している。


<地政学的な収束を追求>

2国間の防衛相互運用性を追求したがらないインド政府の態度には、
年来自主外交を金科玉条としてきた遺風が確かにある。
そう言って片付けてしまうこともできそうだが、
実はもっと奥深い戦略的な計算も働いている。

米印の蜜月関係が絶頂期だった2007年に当時のインド外相が概説したように、
冷戦の2極分化の終焉とともに、独立後のインド史上初めて、
世界的な極である大国それぞれとの協力拡大が
その他の大国との関係改善をもたらすという好循環が生まれた。

そのような有益な作用が
途絶えず続くようインド政府が取った外交戦略の核心は、
ある大国との2国間関係を、
もっぱら別の大国との関係を不利にするまでには
決して強化しないというものだった。

反対に、米国とインドの防衛上の絆とそれに伴う調達関係が
中国、ロシア政府では
非公式な軍事・政治連携の前兆と見なされたという点では、
中ロ両国の幻滅感は関係改善の有益な好循環を反転させ、
インド政府の多次元ベクトルの
外交戦略の要をぐらつかせる恐れがあった。

結局あちらを立てればこちらが立たずで、
中国政府(米印の防衛関係の標的となるかもしれない国)と
ロシア政府(米印の調達関係によって損をしかねない国)は、
米印防衛協力の範囲を狭める制約要因となっている。

さらに、インド政府内でも、米国とのそうした関係は
近隣海域の安全保障に求められる要件をいくらか超えていると
見なされているという点で、
半ば非公式な軍事連携の特性を備えた米印防衛協力は
よくて(あるとしても)遠い将来に向けた憧れにすぎない。

ビルマ(ミャンマー)海岸沖の掘削・パイプライン施設を守るために
中国政府が海軍を派遣するような事態になれば、
この計算が変わってくるかもしれないが、
現時点ではそのような成り行きは仮想的なように見える。

とはいえ、アジアにおける安定した地政学的均衡は依然、
インドの国益の必要条件だ。
そのためインド政府内には、多国間主義の
アジア安全保障のオープンな枠組みの中だけでなく、
米国との2国間関係や日本を加えた3カ国間関係の中でも、
均衡状態を保つべく認識と評価を共有しようとする意欲はある。

最近発表された日米印の高官レベルの対話機構や、
発足間もない東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大国防相会議(ADMMプラス)は、
この点で有益な場を提供するだろう。

2010年に
ハノイで開催されたASEAN地域フォーラム(ARF)がそうだったように、
中国の過度な勢力拡大を抑制するための外交上の対抗策を講じるうえでも、
アジアにおける3カ国間、あるいは多国間の
防衛・戦略協力の可能性と限界について
微妙な理解を浸透させるうえでも役立つはずだ。


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1443




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