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中国の高速鉄道が浙江省温州市付近で追突事故を起こし、
多数の死傷者を出した。
この事故を受けた中国のマスコミ、
大衆世論の反応は従来と全く異なった展開を見せている。
東日本大震災は、日本社会の在り方、日本人の生き方、
メディアの役割を大きく変えるのではという議論がなされているが、
今回の鉄道事故はそれくらいの衝撃をもたらしている。


高速鉄道についてはすでに中国国内で7000キロ以上も運行しているが、
いわばそのシンボル的存在として、
7月1日の中国共産党創設90周年に合わせて、北京―上海間が開通し、
大いに中国版“新幹線”に内外の目が集まっていた。
特に日本では、党の祝賀大会に合わせて繰り上げ開通したこと、
日本の新幹線技術も導入しながら特許申請を海外に申請したことなどから、
その安全性などに疑問の声が上がっていた矢先に事故だけに、
まだ原因調査が進む前の段階で、「国威優先、急拡大のツケ」
「車両、運行管理、信号システム、各国技術寄せ集め」
(7月25日)といった批判的な記事が目立った。
私の周辺の普段は冷静な中国人研究者でも
「これはやり過ぎでは?」という声が聞かれた。

しかし、その後、中国共産党の中央宣伝部が報道規制を強化し、
さらに衝突車両を現場に埋めるという、
“証拠隠滅”の動きが伝えられると、
中国の友人たちも、日本メディアのやり過ぎ批判どころか、
中国当局の粗暴なやり方に憤りをぶつけていた。

日本のメディアでは、中国当局がメディアを規制し、
インターネットまで抑えにかかっていると伝えたが、
その後の展開をみると、
多くのマスメディアが中央宣伝部の指示を無視し、
インターネットの論壇は大衆の怒りで炎上している。
当局もその勢いに圧倒されたようで、
実際、埋めた車両を掘り返すことにもつながった。

胡錦濤―温家宝政権は
「以人為本(人を根本に置く=人間重視)」を施政の柱にしてきたが、
それはあくまで建前と、大衆は受け止めてきた。

不正や腐敗はほとんど放置され、
それを追及するメディアには容赦ない弾圧が加えられた。
その結果、さまざまな不平等が放置されるどころか、
拡大し、まん延している。

今回の事件では、たくさんの犠牲者を出し、
衆人環視の中で、この粗暴なやり方がまた繰り返されようとした。
まだ、救出作業でさえ、完了していないのに、
車両を埋める、報道を制限するという事態だ。

そして、2歳の少女がその車両から見つかると、
スポークマンは「奇跡だ」と開き直り、
さも自分たちの功績であるように装おうとした。
インターネットという表現手段を得た大衆たちは、
この欺瞞的姿勢に怒りをあらわにした。

民間のネット論談はそうした声であふれかえっている。
当初は、当局の命令で削除されていたが、
2日も経つと、もう規制のできない勢いになった。
事故の翌日、事故が人災であるとの書き込みであふれたサイトは、
見られなくなっていたが、
その翌日からこれまで以上に書き込みであふれるようになった。
それどころか、国有メディアで、
がんじがらめの統制の網の中にある新聞も、
中央宣伝部の指示を無視した。

共同電によると、中国国内の新聞社は24日午前の段階で、
「事故の報道は国営通信新華社の配信記事を使用し、
独自取材に基づく報道をしないよう要求した」という。

しかし、25日の北京、上海、事故現場の浙江省の大衆紙は、
なまなましい現場の写真、事故の状況などを堂々と報じている。
たとえば北京の『新京報』、上海の『東方早報』、
杭州の『銭江晩報』などは10ページ前後の特別紙面を展開した。
人民日報傘下の大衆紙『京華時報』でさえ、特集紙面を作り、
政府の情報公開の不十分さを批判する評論を掲げた。

『人民日報』、『中国青年報』などの機関紙は相変わらず、
当局の指示を守る新聞人としては、恥ずかしい紙面を展開しているが、
大衆紙としては、このような指示を墨守していたら、
大衆の支持を失い、経営基盤を失うばかりという危機感にも支えられ、
大衆世論の求める紙面に転換しているのではないかと、想像できる。

そもそも政府当局が
「以人為本」というスローガンを掲げているのだから、
宣伝部の指示と紙面の内容のどちらが、
その方針に反しているのか、自明の理であろう。

ネット上の議論が沸騰しているのも、
大衆紙が今回堂々とした紙面展開を行ったことが
後押しになっているのかもしれない。
また、こうした局面で、当局も立場を変えて、
ネット上の議論を黙認する方向に動いているのかもしれない。
このあたりは、現象から想像するほかないだろう。

ネット上の議論は、怒りだけでなく、
冷静に事態を分析し、当局の責任を追及するものもある。
おそらく専門家や記者たちが後押しして情報を提供したり、
直接彼らが書き込んでいるのであろう。

例えば、なぜ事故後車両を埋め、運転再開を強行したのか、
それは政府が公布した「鉄道交通事故応急救援と調査処理条例」で、
「速やかな運行の回復」を求められているからだといった、
法令の存在を指摘する書き込みがあった。
こうした書き込みを巡って
また「政府は被災者の救援より運行を優先している」といった、
批判的な議論が高まっている。

鉄道省は、目下、この高速鉄道建設を推進してきた前大臣が
巨額の汚職容疑で隔離されて操作されている最中。
その部下で技術部門の元最高幹部は、
北京―上海線の開通前の香港紙のインタビューで、
前大臣が「世界一」を求め、安全性をないがしろにして、
高速鉄道建設を進めてきたと暴露している。

「発展こそ道理」というトウ小平の教えの下に
高度成長路線を進めてきた中国。
高速鉄道の事故とその処理の拙劣さは、
この路線の問題点を象徴しているともいえよう。

胡錦濤政権は来年秋の党大会で、幕を閉じる。
江沢民前主席をはじめとする既得権益層の影響力拡大で、
政権がもともと掲げてきた、
「以人為本」をはじめとする開明的な施政方針が
いずれも建前の次元に棚上げされ、
政権はめぼしい成果を挙げることができなかった。

今回の事故をきっかけに高まった民意は、
改めて「以人為本」の実行を迫っているかに見える。
傷ついた中国の国家イメージを改善するには、その道しかないだろう。


http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0728&f=column_0728_009.shtml



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