HOME   »   スポンサー広告  »  スポンサーサイト【論評】中国  »  読書:「中国人一億人電脳調査」感想 その1
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
先月の20日に発売されたばかりの
文春新書の「中国一億人電脳調査」を読みました。
著者は城山英巳さん。

内容は、現在の中国の政治とインターネットの関わり、
そして中国人の対日意識の変化など。
なかなか面白かったので
その一部を引用しつつ感想等を載せておきます。

またまた長くなりそうなので数回に分けます。

     ・      ・

今、中国では「新浪徴博」というITツールが流行っているそうです。
これは中国版のツイッターで
利用者人口はなんと一億人もいるとのこと。

中国ではツイッターは特殊なソフトがないと接続できません。
ツイッターは米国にサーバーがあるため
その内容を中国当局が全く統制できず、
09年7月のウイグル暴動以来、接続規制を受けています。
現在使用しているのは知識人や人権派弁護士などの
20万人にとどまっているそうです。

代わって登場したのが「新浪徴博」で
ツイッターと同じく140文字の書き込み、
機能もほとんどツイッターと同じとのことです。

この新浪徴博は中国企業が自国内のサーバーで運営しているため
当然ながら当局の監督下にあります。
ただ、一億人が使用しているため
その膨大な書き込みを制御・監視することはとうてい不可能で
当局にとって都合の悪い「検索禁止ワード」を設定するぐらいが
せいぜいの対応とのこと。

中東でジャスミン革命が起きた際に当局は
「エジプト」「ムバラク」などのキーワードを検索不可の対象にしました。
ただ、あくまでも検索不可で「書き込み不可」ではありません。

よって新浪徴博は
ツイッターまでではないにしても
かなり自由な言論空間になっているそうです。

以下、本文を引用します。

 徴博の絶大な影響力が示された事件はこのほかにも多い。
 江西省宜黄県で10年9月に起きた、
 「トイレ立てこもり」事件はその典型だろう。

 地元政府の強制立ち退きに抗議した一家三人が焼身自殺を計り、
 一人が死亡、残る二人も負傷した。
 県は「不注意で起きた事故」と発表。
 
 これに怒った一家の姉妹二人が、
 時事問題誌「鳳凰週刊」記者の取材を北京で受けようと
 省都南昌の空港に向かった。
 しかし、県書記は二人を取り押さえるために部下ら約50人を派遣。
 彼女らは空港女子トイレに逃げ込み、携帯電話でSOSを求めた。

 これを知った同誌記者が選んだのは「新浪徴博」での実況中継。
 トイレでの姉妹の様子を全国に一斉に伝えた。
 その後、妹も自ら徴博を使い、
 自殺を図った母親の容体が悪化したと書き込むと、
 延べ1万3千回以上もリツイートされた。

 結局、母親は飛行機で北京の人民解放軍304病院に運ばれ、
 網民(*ネットユーザー)からの圧力を受けた県の書記らは 
 辞任に追い込まれたのだ。


 「人民網(人民日報ネット版)興情観測室」が発表した、
 「2010年中国互聯網(インターネット)興情分析報告」も
 率直にこう認める。

 「伝統的メディアはもはや唯一の情報源ではなくなった。
 徴博は網民が情報を受け取ったり発信したりする際、
 最初に選ぶ手段の一つになった。
 徴博はさらに大きな社会振動をもたらし、
 突発事件での『現場直播(実況中継)』を実現し、
 誰もが手軽に情報発信者になることを可能にした。
 江西省宜黄の焼身自殺事件において徴博は決定的な役割を発揮した」


 即時性を備えた徴博の最大の特徴は「大衆動員力」にある。
 ある事件が起こり、
 ネット上で関心を持ってその事態を見守る行為を、
 中国のネット用語で「囲観」と呼んでいる。

 ある事件に対してネット上で意見や要求を表明したり、
 その事件に関する情報を転送したりするなど
 様々なやり方で関与すれば、大きな世論の力となる。
 不特定多数の網民が徴博などを通じて「囲観」すれば、
 指導部が最も恐れる大衆行動につながる。

 その典型的な例が、2010年11月に
 上海中心部の28階建て高層マンションで発生した火災だ。
 58人が犠牲になったこの惨事の初七日、
 火災現場には犠牲者を哀悼しようと
 花束を持って市民が長蛇の列を作った。
 その数はなんと十万人。

 火災に対する政府の対応に不満を強め、
 献花という行動に静かな抗議を込めたわけだが、
 「徴博」や携帯メールを通じて次々と情報が伝達され、
 大衆行動に発展したのだ。

 上海市トップの兪正声党委書記や韓正市長ら指導部も、
 喪服姿で花を持って火災現場に登場、
 群集と一緒に哀悼の意を捧げざるを得ない状況に追い込まれた。
 共産党・政府は一歩間違えば、
 自分たちの批判運動に発展するのを恐れたのだ。

 「2010年は中国の『徴博年』」と言い切る民間の学者・秋風は
 「囲観は現実の世界でも『力量』を備えており、
 『囲観改変中国』(囲観が中国を変える)と言うことさえできる」
 (『中国新聞週刊10年12月27日』)と解説している。



と、長々と引用してきましたが
中国でのITと政治の関わり・力関係が
なんとなく伝わってきたんじゃないかと思います。

まあ、新浪徴博、いくらその影響力が大きくても
所詮は中国国内のサーバーを使っているので
当局が潰そうと思えば出来なくはないでしょう。

ただ、それはあくまでも最終手段であり、
一億人が情報伝達に使うツールを潰してしまえば
国民の反感が必ず跳ね返ってくるでしょうね。

当局としては
「潰したいけど潰せないITツール」
「いざとなったら潰す覚悟だけども
普段はいまいましいながらも、その存在を許容している」
といった感じでしょうか。

昔から、国家や組織を握る要諦として
「人事」「金」「情報」の3つが上げられます。

国家の「人事」と「金」はいまだに共産党が握ってますが
「情報」はITの進化とともに
少しずつ党のコントロールが効かない状態に向かいつつあるようです。


次回「その2」は数日以内に書きます。



 *「中国人一億人電脳調査



関連記事
NEXT Entry
中国政府が孔子思想復活 「共産主義の欠陥穴埋め」
NEW Topics
太子党内に党派党争あり
イラン金融機関を国際送金ネットワークから排除へ
中国ジニ係数、0・5を超えて最悪
ベトナム、中国に反撃 南沙諸島の寺院修復、僧侶派遣へ 警備艇も配備
宇宙のインフラ輸出推進 JAXAと連携、衛星売り込み
温家宝首相の最後の会見は爆弾だらけ
対米サイバー攻撃は「中国軍の主力作戦」 米議会報告
核兵器開発を巡って米朝が不可解な合意 北朝鮮の狙いは本当に食糧獲得だけなのか?
米軍後ろ盾、資源開発 フィリピン、強気の南シナ海 中国反発、高まる緊張
NASAネット侵入13件 機密情報の閲覧可能状態、アドレスは中国
RSS:最新ニュース&論評
プロフィール
全記事表示リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 12345678910111213141516171819202122232425262728293031
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。