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北朝鮮の弾道ミサイルが降ってくる恐れはあっても、
特殊部隊や武装工作員が原子力発電所を奇襲してくることは決してないと
民主党政権、防衛省・自衛隊、警察庁は思っているのだろうか。
多額の予算をかけてミサイル防衛(MD)システムを整備するのは正しい。
だが、原発に対する軍事攻撃に
予算と自衛隊の兵員を割いて備えようとしないちぐはぐさは実に奇妙だ。

東京電力福島第1原子力発電所の事故は、
大規模な放射能漏れが起きれば国家が大混乱に陥ることを、
世界中の国家やテロリスト集団に知らしめた。
少人数のテロリストなら
警察の「原子力関連施設警戒隊」で撃退できるだろう。
しかし、高度な軍事訓練を受け、
軽迫撃砲や対戦車火器で武装した数十人規模の特殊部隊がやってくれば、
かなうはずがない。
原発内部へ敵がひとたび侵入すれば、破壊による大規模な放射能漏れも、
原発を「人質」にわが国を脅迫することも思いのままだ。
自衛隊が加わった原発防衛・警備へ態勢を改める必要がある。


破壊、占拠された際のダメージを考えれば原発は
極めて重要な防衛対象だ。

韓国の古里原発では4月13日、
韓国軍制服組トップの韓民求合同参謀本部議長が主管して、
北朝鮮の武装工作員が原発爆破を目的に侵入したとの想定で、
韓国軍などが演習を行っている
(朝鮮日報オンライン日本語版、4月14日)。
5月18日には蔚珍原発で、陸軍特殊部隊員を侵入役とする、
抜き打ちの「防衛態勢点検」が実施されたという
(毎日新聞6月2日付朝刊)。
韓国が、福島の事故に触発されたのは明らかだ。

菅直人首相(64)が「脱原発」を唱えても、
わが国の原発はその必要性から、
少なくとも当面、または長期にわたって、存在し続けるだろう。
自然災害だけでなく、攻撃から守る措置を講ずるのが、
国家と国民に対する責任だ。

自民党は動き始めている。
自民党政務調査会(石破茂政調会長)が
今津寛国防部会長(64)の問題提起を受け、
「原発警備に関する検討会」(座長・浜田靖一元防衛相)を設置した。
自衛隊の原発防衛を可能にする自衛隊法改正案の検討を進めている。
自衛隊法81条の2で規定する「警護出動」の対象に
原子力関連施設を加える方向だ。
7月1日と13日には非公開の会合を開いた。

一方、防衛省・自衛隊から原発防衛の声はあがっていない。
北沢俊美防衛相(73)は6月4日、シンガポールでの国際会議で、
自衛隊が原発「事故」に対処するロボットを将来保有し、
国際支援も行う考えを示した。
結構な話だが、「攻撃」に対処する本業はどこへ行ったのか。


防衛省関係者は、民主党の閣僚、要人の無関心同然の態度に加え、
「原発警備は警察の縄張りだから防衛省・自衛隊はためらっている」
と解説する。
警察の手に負えなくなって初めて自衛隊が投入される仕切りのようだ。

縦割り意識による警察への遠慮と、
自衛隊法に原発防衛、警護の規定がないことで
「防衛省・自衛隊は全国の原発の詳細な実態も知らない」
(関係者)という。
本来なら、軍事攻撃からの
原発の抗堪性強化の助言をしなければならないのだ。

国内に原発は54基あり、
沿岸部のおよそ24カ所に固まって存在している。
警察は各原発に、多くて数十人の「原子力関連施設警戒隊」を配備し、
海上保安庁と警備にあたっている。
主要火器はサブマシンガン程度だ。

石川県警と愛知県警対テロ特殊部隊(SAT)は
2010年11月、志賀原発(石川県志賀町)で対テロ訓練を行った。
外国の武装工作員3人を銃撃戦の末制圧する想定だった。

要するに、警察の警備は、
テロリスト対策であって特殊部隊レベルの襲撃には対応していないのだ。
装備を強化しても、警察が軍の特殊部隊に対抗するのは至難の業だ。

今年3月31日には、
福島第2原発のゲートを突破した街宣車が約10分間、
構内を走り回って逃走した。
その後容疑者は逮捕されたが、
これが本当の襲撃だったらどうなっていたか。

原発は人里離れた海辺にある。
自衛隊が駆けつけるまで敵が侵入を待つはずもない。
陸自の精鋭「特殊作戦群」(千葉県・習志野駐屯地)の投入も当然だが、
同時多発の攻撃があり得る中で、自衛隊部隊の常駐は欠かせない。
警備は、警察や民間警備会社との協力も必要だ。

24時間3交代で原発を守るのに
各1個中隊(約200人)が必要として、陸自で約1万人の兵員がいる。
ただし今の自衛隊は人員も予算も足りない。
南西方面の防衛強化など任務が増すばかりで
一兵、1円の余裕もないからだ。
自衛隊の増員と予算増へ舵を切るのが賢明というものだ。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110716-00000549-san-pol



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