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誰が王立軍(重慶市副市長)の米国領事館接触を北京に通報したか?
薄き来は、常務委員会入りを諦めたのか? 王洋が巻き返したのか?


王立軍の失脚がおおきな政治問題入りしたことは先週までに伝えたが、
政治的に追い詰められた王立軍が重慶からとなりの成都へ飛んで、
米国領事館へこっそりとはいり、
そこに長い時間、滞在したあげく周囲に説得され、
自ら領事館のそとへでたことが、その後、明らかになった。

亡命を申請したが習近平訪米前のタイミングでもあり、
米国が拒否したという報道もあるが、真偽のほどはだれも分からない。

その後、王立軍は「長期休暇」にはいったが、これは異例の措置。
そもそも権力闘争の舞台中枢にある人間が、
ちょっと休みがとれるほど「中国三国志」の世界は現在でもヤワではない。
明らかに「失脚」と解釈出来る。

さて問題は、
誰が、王立軍が米国領事館へ「相談にいった」ことを
北京中枢に通報したのかである。

博聞新聞網(2月13日)は、
米国大使館が北京の外交部へ連絡したのが最初で、
これが外交部から権力中枢、常務委員会法紀委員会へとリレーで連絡され、
ついで九人の常務委員秘書へそれぞれ通知されたという。
中央政治局の常務委員会政法関係の責任者は周永康(江沢民派)であり、
周は江沢民にも伝えたという。

さらに同紙は奇妙な薄き来の動きを伝える。
 
薄は黄奇帆(重慶市長)に連絡を取って、
成都の米国領事館へ警備を急派するよう要請し、
自らも代理人を急遽、成都へおくりこんだ。
彼らは領事館内で王と話し合ったそうな。
一部の報道にあったように、もし、これが本当であるとすれば、
薄と右腕の王立軍とは、すでに対立関係に陥っていたことを示す。


▼「蒋介石と杜月笙」&「薄き来と王立軍」

一部のネットには「蒋介石と杜月笙のように、
薄き来と王立軍の関係は似ている」と説く者が現れた。
杜月笙は蒋介石黄金時代、上海のマフィアの親玉にして、
テロリストの黒幕、そして蒋介石の右腕だった。
杜月笙も乱暴に金を稼ぐうえ腐敗も激しく、
蒋介石につぐほどの財宝を隠匿した。

いまも上海へいくと、杜の第二夫人、第三夫人の大妾宅が一等地にあって
豪華ホテルにばけていたり、豪華レストランになっていて、
壮大な庭園をみただけでも、どれほどの蓄財をなしたかが偲ばれる。
杜に比べれば、王立軍がたとい不正蓄財をしていたにせよ
可愛い程度のものだろう。

さて最大のポイントは王立軍ではない。
次期政治局常務委員を狙っていた、
薄き来の政治生命が絶たれるかどうか、である。

古くは江沢民が政敵=陳希同を葬った折も、
副官だった王実森北京副市長は「自殺」した。
陳希同は北京市書記にして古参幹部、
上海からいきなり二段階特進でやってきた江沢民をバカにして、
ことごとく彼に嫌がらせをした。

江沢民の右腕だった曽慶紅はトウ小平とはかり、
北京の銀座と呼ばれるワンフーチン(王府井)開発で
香港財閥に便宜を図り賄賂を取ったとして逮捕し、懲役十六年、
陳は刑期の終わった今でも内蒙古省の監獄に閉じこめられたまま。
江沢民がまだ生きているからである。

これはプーチン最大の政敵だったホドロコフスキーを
でっち上げの脱税容疑で逮捕し、刑務所にぶち込んで、
この間に彼の経営した大手石油メジャー「ユコス」を
横取りしたという権力闘争と酷似する。
 
ユコスは解体され、KGB人脈(つまりクレムリン主流派)が
急遽組織した新メジャー「ロフネフツ」傘下に吸収された。

胡錦涛の政敵だった陳良宇(上海市書記)失脚は、
頭でっかちで政治力のない共青団が、
当時の権力中枢を牛耳った上海派の鼻をあかせたが、
同時にばらばらだった上海派の利権グループを再度、結束させてしまい、
下馬評にもなかった太子党のダークホース習近平が浮かび上がって、
いつしか胡錦涛の頼みの綱=李克強の上を歩み、
いまや次期総書記は間違いないという座を得た。


▼二転三転、逆転逆逆転の権力闘争

つまり三国志演義にも類型のドラマが見られるように、
いま勝利組が明日も勝利しつづけているドラマは中国では成立しにくく、
往々にして逆転劇がおこる。
しかけたほうが、ほくそ笑んだ直後に、
仕掛けられた次の謀略が幕を開く。

陳失脚後、おとなしくなったと思いきや、
江沢民は自派から次期後継を捜し出して党内合意を瞬く間に形成し、
習近平をポストに就かせることで陳失脚劇を幕引きしたのだ。

その後、江沢民病死説が流れても、
胡錦涛派が李克強の巻き返しに動かず、静観した。
辛亥革命百周年の式典に江沢民が現れ、
その院政の影響力を誇示して見せたが、共青団は騒がず、
しかし広東省の王洋書記と
組織を司る李源潮の次期執行部入りを黙々とオルグしていた。
つまり彼らの力の限界をみせた。
この間にひとり気を吐いたのが
「唱紅打黒」を唱えた重慶の暴れん坊、薄き来だった。

このタイミングで太子党の合意は、
たとえ太子堂のプリンスのひとりとはいえ、
将来明らかに習近平の政敵になる薄き来は邪魔であり、
胡錦涛らの共青団にしても、煙たい存在となる。

したがって上海派主導で薄き来の政治生命を絶つこと、
これは太子党利権グループが共青団を巻き込んだ権力中枢の合意であろう。
げんに王立軍の後釜は共青団人脈から選ばれ、
上海派の差し金であるにも関わらず
彼らは表面的な人事介入から
無縁の立場を装うことが可能となっているように。

秋の第十八回党大会を前にして、どっかりと政治的嵐の季節が始まった。
 

http://melma.com/backnumber_45206_5490720/


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