HOME   »  【論評】中国
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
前回と前々回の続きです。
「中国人一億人電脳調査」感想 その1
「中国人一億人電脳調査」感想 その2


この本の著者と文芸春秋社は
中国版ツイッター「新浪徴博」で
「嫌いな日本人は誰か?」という質問を投げかけてみました。

すると多かったのが、

 石原慎太郎
 小泉純一郎
 東条英機

の3人だったそうです。

しかし、石原都知事に関しては
近年、中国の改革派知識人の間で評価が上がっているとのこと。

以下、本文より引用。


 きっかけは中国の人気雑誌『南方人物週刊』、
 (2010年10月18日)に出た石原のインタビュー記事。

 インタビューに先立つ同誌編集部の前書きとしてこう記している。

 「石原慎太郎の名前を言うと、中国の民衆が
 すぐさま次のような沢山の言葉を連想するだろう。
 日本の右翼、反中人物、軍国主義者、民族主義者、
 国粋主義者、扇動者、トラブルメーカー・・・・・・」

 その上で編集部は次のような問題提起を行う。

 「(ポジティブでない)評価を出す前に
 評価される相手とその行為に対して、
 真実に基づいて客観的に認識することこそ
 公認されるべき正しい態度ではないだろうか。」

 実際に石原についてきちんと取材し、
 報道した中国メディアはこれまでなかった。
 「石原=反中」の固定したイメージばかりが先行してきた。

 そこで『南方人物週刊』は
 「まず理解した上で評価する。
 『敵』であっても、その中に忠言が含まれているかもしれない。
 弊誌が『反中分子』を報道する道理は非常に分かりやすい。
 われわれの相手を知り、よりうまく彼に対処するためである」と考え、
 石原インタビューを敢行した。

 インタビューで
 「あなたは反中人士と見られている」と聞かれた石原は
 こう反論している。

 「私は当然共産主義者と対極の立場に立っていますからね。
 断っておきますけれども、私はね、中国文化は好きです。
 中国の共産主義は嫌いなんです。
 中国が経済成長してね、社会が成熟してきたらね、
 たぶん中国でもより多くの人が共産主義に対して
 違う見方をするようになってくると思うね。」

 「反共であっても反中ではない」というのが石原の発言だった。
 「愛国」といって「共産党を愛する」ように強要し、
 体制維持を図る共産党のやり方に反発する改革派知識人たちは、
 石原の意見に共鳴した。
 筆者の友人である北京の人権派弁護士もこの号が発売された直後、
  「(石原を)見直した」と評価していた。

 石原が表紙を飾ったこの号は、数十万部が完売したという。
 いくら日本人から発せられた言葉といえども、
 「中国の共産主義は嫌い」という敏感な文句が、
 削除されずにそのまま掲載され、
 共産党中央宣伝部などからの処分もなかったのは
 異例と言っていいだろう。

 『南方人物週刊』が試みた石原インタビューは、
 共産党のプロパガンダで作られた、
 「歪んだ対日観」を壊すことを目指したものであり、
 逆に言えば、こうした中国に根付いたプロパガンダシステムを
 否定する狙いも込められた、と筆者は見る。


以上です。

私の感想は3つです。

まず、中国のマスメディアといっても
全てが全て共産党べったりではなくて
一定の範囲内ですが、自由にモノを言えるメディアもあるということ。

この「南方人物週刊」という雑誌には
同じ企業グループの「南方都市報」という新聞があります。

この新聞は2010年12月、
劉暁波のノーベル平和賞授賞式の際に
誰も座ってない椅子と鶴の写真を一面に掲載しました。

中国では鶴は「賀」と同じ発音であり、
当局によりオスロの授賞式に出席できない劉暁波の状態を風刺しつつ、
暗に受賞を祝ったわけです。
これは共産党に対する挑戦であり、
ネット上では「南方都市報」の気骨が賞賛されたそうです。

二番目に、これは米国なども同様ですが、
中国の知識人達に石原さんの発言が好まれた理由の一つに
「利害が対立する相手であっても、
信念を持って毅然とした言動をする者を畏敬する」
という感覚があると思います。

外交での交渉ごとでもそうですね。
ハッキリとモノを言い、
自国の国益を勝ち取ろうとする外交官は
「タフ・ネゴシェイター(tough negotiator)」と
相手からも評価されます。

逆に、他国に媚びへつらい、国益をおとしめる人は、
相手に利用はされるけれども、決して尊敬されません。
民主党の菅・仙谷氏や、自民党の河野洋平さんなどがそうです。

三番目に、石原さんの
「反共であれども反中にあらず」という論理は、
日本が今後、国家戦略として中国と対峙していく際に
とても有効であると思います。
特に、かの国の民主化を推進する場合にね。

かつて毛沢東は
「日本の軍国主義者は日中人民の敵」というロジックを使って
日本政府と国民を分断しようとしましたが、
同様に、
「中国共産党は日中両国民の敵」という論法で
かの国に対していけばいいと思います。


なお、この「南方人物週刊」の石原さんへのインタビューは
東京都公式サイトの「知事の部屋」というコーナーに
日本語訳全文が掲載されています。
興味のある方はどうぞ。

 *南方人物周刊:22年10月18日掲載 1
 *南方人物周刊:22年10月18日掲載 2
 *南方人物周刊:22年10月18日掲載 3
 *南方人物周刊:22年10月18日掲載 4



*「中国人一億人電脳調査






スポンサーサイト
例の中国版新幹線が事故って大騒ぎになってます。

こういうこと言うとよくないのかもしれませんが、
新幹線の技術導入の段階から
今回の事故及び事故処理に至るまで
なんというか、この国は意識レベルが「途上国」だな~と思いました。

この有様は、天上の孔子が見たらどう思うんでしょうね?

仮に、戦前の日本において同様の事が起きても
こんなにいい加減で醜悪にはならないと思います。

戦前の日本も物質的豊かさにおいて貧しい部分はあったけど
道義や国民倫理の部分においては誇り高く、
醜悪さとは真逆の国でした。


で、本題に戻ります。

前回の続きです
「中国人一億人電脳調査」感想 その1

著者とこの本の発行元である文藝春秋社は
中国版ツイッター「新浪徴博」にてアカウントを作り、
中国のネットユーザーへアンケート調査を試みたそうです。

なかなか興味深い内容なので
その一部を引用して感想などを載せておきます。

以下、引用

 インターネットの普及によって
 さまざまな日本に対する民意があふれている。

 網民(*ネットユーザー)たちは、
 歴史教科書や伝統的メディアを通じた「日本像」が実は、
 共産党の作り上げたものだと、
 本格的に気づき始めているからである。

 「新浪徴博」調査で
 《中日関係の友好発展はどうすれば促進するか》と尋ねたが、
 網民たちは先に挙げた歴史教科書や伝統メディアによる、
 対日「洗脳」システムを熟知していた。
 教科書や伝統メディアが、ちゃんとした日本を
 伝えてないという不信感があるのだ。

 広州の女性はこうつぶやく。
 《私は非常に真剣に考えた。
 結論は(問題は)メディアの洗脳にこそあります》

 《中国メディアは、日本のマイナス面を誇張した報道を行い、
 群衆もそこに関心を持つ。
 日本人民の本当の考えをわれわれは知らないのです》
 福建省浦田の男性はこう回答した。

 《中国人として私は、海外メディアの助けなくして
 真相を理解できないのはとても悲しい。
 われわれのメディアを通じて日本を理解し、
 誤りを取り除く見込みはありません》(深セン・女性)

 《中国人の多数は真相を必要としていない。
 自分勝手な想像しかいらない。
 同様に中国メディアも真相を報道する必要はない。
 嗜好に迎合しさえすればいいからだ》(南京・男性)

 《メディアの政策性が非常に強く、世論は一定の方向に導かれる。
 メディアは中日間の政治的衝突の中で起こる波乱を
 助長させるべきではない》(貴州省貴陽・女性)

 《政治が多すぎるんです。小市民たちは何も真相が分からない。
 文化から始めてゆっくりと浸透していくしかないと思います》
 (上海・女性)

 「ネット時代」に生きる中国の民は
 当局や伝統メディアによって歪められていない日本の真の姿や
 日本人の本音を知りたがっている。

 東日本大震災において
 中国メディアがなぜ日本人に対して好意的な報道を行ったのか。
 中国紙記者によると、共産党中央宣伝部は、
 大震災に対して報道規制をほぼ実施しなかった。
 大挙して被災地や東京に押し寄せた中国人記者の多くは
 初めての日本だったが、
 ありのままの日本や日本人を報道した結果、
 ああいう論調になったのだ。

 共産党の報道規制への不満を強める、
 良識ある中国人ジャーナリストの間では
 「ありのままの日本」を伝えようという意識が高まっているのだ。


うーむ、こういうのを見ていると
ネットってのは情報統制への突破口だなあと思いますね。

ってか、こういうアンケート調査を
ネット上で自由に行えたこと自体に中国の変化を感じます。


次回「その3」は数日以内に書きます。



 *「中国人一億人電脳調査



先月の20日に発売されたばかりの
文春新書の「中国一億人電脳調査」を読みました。
著者は城山英巳さん。

内容は、現在の中国の政治とインターネットの関わり、
そして中国人の対日意識の変化など。
なかなか面白かったので
その一部を引用しつつ感想等を載せておきます。

またまた長くなりそうなので数回に分けます。

     ・      ・

今、中国では「新浪徴博」というITツールが流行っているそうです。
これは中国版のツイッターで
利用者人口はなんと一億人もいるとのこと。

中国ではツイッターは特殊なソフトがないと接続できません。
ツイッターは米国にサーバーがあるため
その内容を中国当局が全く統制できず、
09年7月のウイグル暴動以来、接続規制を受けています。
現在使用しているのは知識人や人権派弁護士などの
20万人にとどまっているそうです。

代わって登場したのが「新浪徴博」で
ツイッターと同じく140文字の書き込み、
機能もほとんどツイッターと同じとのことです。

この新浪徴博は中国企業が自国内のサーバーで運営しているため
当然ながら当局の監督下にあります。
ただ、一億人が使用しているため
その膨大な書き込みを制御・監視することはとうてい不可能で
当局にとって都合の悪い「検索禁止ワード」を設定するぐらいが
せいぜいの対応とのこと。

中東でジャスミン革命が起きた際に当局は
「エジプト」「ムバラク」などのキーワードを検索不可の対象にしました。
ただ、あくまでも検索不可で「書き込み不可」ではありません。

よって新浪徴博は
ツイッターまでではないにしても
かなり自由な言論空間になっているそうです。

以下、本文を引用します。

 徴博の絶大な影響力が示された事件はこのほかにも多い。
 江西省宜黄県で10年9月に起きた、
 「トイレ立てこもり」事件はその典型だろう。

 地元政府の強制立ち退きに抗議した一家三人が焼身自殺を計り、
 一人が死亡、残る二人も負傷した。
 県は「不注意で起きた事故」と発表。
 
 これに怒った一家の姉妹二人が、
 時事問題誌「鳳凰週刊」記者の取材を北京で受けようと
 省都南昌の空港に向かった。
 しかし、県書記は二人を取り押さえるために部下ら約50人を派遣。
 彼女らは空港女子トイレに逃げ込み、携帯電話でSOSを求めた。

 これを知った同誌記者が選んだのは「新浪徴博」での実況中継。
 トイレでの姉妹の様子を全国に一斉に伝えた。
 その後、妹も自ら徴博を使い、
 自殺を図った母親の容体が悪化したと書き込むと、
 延べ1万3千回以上もリツイートされた。

 結局、母親は飛行機で北京の人民解放軍304病院に運ばれ、
 網民(*ネットユーザー)からの圧力を受けた県の書記らは 
 辞任に追い込まれたのだ。


 「人民網(人民日報ネット版)興情観測室」が発表した、
 「2010年中国互聯網(インターネット)興情分析報告」も
 率直にこう認める。

 「伝統的メディアはもはや唯一の情報源ではなくなった。
 徴博は網民が情報を受け取ったり発信したりする際、
 最初に選ぶ手段の一つになった。
 徴博はさらに大きな社会振動をもたらし、
 突発事件での『現場直播(実況中継)』を実現し、
 誰もが手軽に情報発信者になることを可能にした。
 江西省宜黄の焼身自殺事件において徴博は決定的な役割を発揮した」


 即時性を備えた徴博の最大の特徴は「大衆動員力」にある。
 ある事件が起こり、
 ネット上で関心を持ってその事態を見守る行為を、
 中国のネット用語で「囲観」と呼んでいる。

 ある事件に対してネット上で意見や要求を表明したり、
 その事件に関する情報を転送したりするなど
 様々なやり方で関与すれば、大きな世論の力となる。
 不特定多数の網民が徴博などを通じて「囲観」すれば、
 指導部が最も恐れる大衆行動につながる。

 その典型的な例が、2010年11月に
 上海中心部の28階建て高層マンションで発生した火災だ。
 58人が犠牲になったこの惨事の初七日、
 火災現場には犠牲者を哀悼しようと
 花束を持って市民が長蛇の列を作った。
 その数はなんと十万人。

 火災に対する政府の対応に不満を強め、
 献花という行動に静かな抗議を込めたわけだが、
 「徴博」や携帯メールを通じて次々と情報が伝達され、
 大衆行動に発展したのだ。

 上海市トップの兪正声党委書記や韓正市長ら指導部も、
 喪服姿で花を持って火災現場に登場、
 群集と一緒に哀悼の意を捧げざるを得ない状況に追い込まれた。
 共産党・政府は一歩間違えば、
 自分たちの批判運動に発展するのを恐れたのだ。

 「2010年は中国の『徴博年』」と言い切る民間の学者・秋風は
 「囲観は現実の世界でも『力量』を備えており、
 『囲観改変中国』(囲観が中国を変える)と言うことさえできる」
 (『中国新聞週刊10年12月27日』)と解説している。



と、長々と引用してきましたが
中国でのITと政治の関わり・力関係が
なんとなく伝わってきたんじゃないかと思います。

まあ、新浪徴博、いくらその影響力が大きくても
所詮は中国国内のサーバーを使っているので
当局が潰そうと思えば出来なくはないでしょう。

ただ、それはあくまでも最終手段であり、
一億人が情報伝達に使うツールを潰してしまえば
国民の反感が必ず跳ね返ってくるでしょうね。

当局としては
「潰したいけど潰せないITツール」
「いざとなったら潰す覚悟だけども
普段はいまいましいながらも、その存在を許容している」
といった感じでしょうか。

昔から、国家や組織を握る要諦として
「人事」「金」「情報」の3つが上げられます。

国家の「人事」と「金」はいまだに共産党が握ってますが
「情報」はITの進化とともに
少しずつ党のコントロールが効かない状態に向かいつつあるようです。


次回「その2」は数日以内に書きます。



 *「中国人一億人電脳調査



RSS:最新ニュース&論評
プロフィール
全記事表示リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 123456789101112131415161718192021222324252627282930
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。